小2も、もう終わりかけの頃。

 夢子と翔汰は、学校に呼び出された。


「何か…」


 夢子は何度も経験したことのあるこの雰囲気。良い事では無い。


 何をやった。あたしの所為か。悠翔の事か。あたしの所為か。


 
      コワイ



「大丈夫」


 翔汰が、夢子を落ち着かせるように、そっとその肩を抱いた。

 コツンと頭を翔汰の肩に預けると、夢子の肩を抱いていた翔汰の男らしい手が、規則正しいリズムを刻みだす。


 ああ。不思議だ。

 こんなに怖かったのに。

 こんなに落ち着くなんて。


「悠翔くんの事ですが…」


 案の定だった。

 悠翔が、連絡もなく欠席する事が増えたと、担任は言った。


「そんな…」


 確かに、見送っている。

 夢子は、ランドセルを背負い無言で家を出ていく悠翔を、確かに見送っている。


「尋翔は…」


 尋翔もその後を追うように、家を出ていく。

 
「尋翔に何か聞きましたか?」


 喉に言葉がつっかえて声に出来なかった夢子の代わりに、翔汰は担任に訊いた。