「悠翔ってさぁ」

「うん?」


 小学校低学年の頃から、悠翔と尋翔の格差はすでについていた。


「よくさぁ」


 教室の端っこで、悠翔は1人、音楽プレイヤーで音楽を聴いている。


「1人でいるよな」

「…あー。まぁ、…ね」

「目つき悪いしさ」


 いつの間にか、最初に喋りかけてきた男子と尋翔の周りに、たくさんのクラスメイトが集まって来た。


「ね。怖いよね」


 その中には、女子までいる。


「先生にも態度悪いよね」

「ねー」

「近寄りがたい…っていうんかな?」


 口々に悠翔の悪口を言っていくクラスメイト。

 誰にも気づかれないように、尋翔は、チラリと悠翔を見た。

 その視線を感じ取ったのか、悠翔は尋翔の方を向いた。そして。


「っ」


 睨んだ。

 まるで忌み嫌っているものを見る様な目で。


「ん?悠翔?どったの?」

「あ…。いや………。なんでも、ない…」


 スッと視線を逸らした悠翔は、少し泣きそうな顔をしていた。