「と…!!ゆ…と!!悠…!!」


 ん…?

 
 誰かに呼ばれた気がして、悠翔が目を覚ますと、目の前には心配そうな顔をした尋翔がいた。


「ひ…ろ、と…?」

「バカ野郎!!どこ行ってたんだよ!」


 まだ覚醒していないのにも関わらず、尋翔は悠翔の胸倉を掴んで、激しく揺さぶった。


「探したんだぞ!!おめぇ!人に、どんだけ心配させりゃ済むんだ!バカたれ!!」

「…………悪ぃ」

「謝って済むなら、こんなに…こんなに、心配なんか、してねぇ…よ…バッキャロー……」


 急に泣きだした尋翔を、驚いた顔で見つめる悠翔。


「廉もっ、いなくっ、なってっ……お前までいなくなったっらっ…俺、俺…どうすりゃっ、いいんだっ……よぉっ」


 悠翔の胸倉を掴んだまま、尋翔は泣き崩れた。

 ここが住宅街のど真ん中だというのにも関わらず、その場で泣き崩れた。


「ざっけんなよ…マジで…。ざっけんな、おめぇら、マジでっ…ふざけんなよ…」

「悪い……悪かったな…」


 悠翔の胸に顔を埋めて、まるで子供のように泣きじゃくる尋翔の頭を、悠翔はポンポンと優しく撫でながら謝った。


「もう………1人になんかしねぇから…な?………悪かったな」

「ホントだろうな……。ウソ吐くなよ…。もしウソだったら………ブッ殺すかんな……」

「おう。…殺せ」

「ぜってぇだぞ」

「おう」


 もうそろそろ、太陽が昇ってくる時間だ。