パチッ

 そんな音と共に、バンガロー内は真っ暗になった。


「おやすみー」

「良い夢見ろよー」

「良い夢見るわ―」


 6人編成の班は、とても仲が良い。

 中学2年の初め、廉が転入してくる前までは、かなり男子からも近寄りがたい雰囲気の乙津兄弟も、廉が転入してしてきた事により、かなり温和な雰囲気になった。

 
「おやすみ」

「おやすみー」


 悠翔と尋翔が、そう言った時。


「Buonanotte!」


 廉が甘い声で言った。


「は?今、なんつった?」

「おイタリー、やめれ」

「ははっ。今のは、おやすみ、って事さ」

「日本語で言え、バカ」




「………」


 真っ暗の部屋の中、そんな古い感傷に1人浸る悠翔。


「くっ…そ…」


 今更ながら頬を伝うその雫は、やはり前回と同様、止む事を知らないらしい。


「………乙津」

「っ?!」


 この声は、きっと要次だろう。