折った膝を戻し、影は檻の中に入って来たようだ。

 コツ、コツ、コツと一定のリズムを刻みながら、影はこちらに近付いてくる。


「ねぇ」


 依然、影の顔は確認出来ない。

 こちらに近付くにつれて、影はだんだんと濃くなっているのは、気のせいだろうか。


「さっきから気になってたんだけどさ」


 手が、こちらに伸びてきて。


「コレ」


 更に影の手は、首にかかっている銀のチェーンネックレスにに伸びる。

 影は、それを指先で弄びながら言う。


「何で、君が持ってるのかな?」


 素手で切ろうと影が手に力を込めた途端。