結果、さりげなく廉が尋翔に出した助け舟で、2人の戦いは収まった。

 「尋ちゃんは、悠ちゃんの事、考えてんだよ」と、ボソッと言っただけなのだが。


「…っ。そ、そうなの…か…?」

「え?…あぁ、まぁ。なぁ?」


 食いつくとは思わなかったのか、虚を突かれた廉は一瞬だけ言葉に詰まった。が、すぐに気を取り戻し、尋翔に視線を移した。


「知るか」


 視線を感じた尋翔は、そっぽを向いて、素っ気なく答えた。


「はぁ?!」

「こらこら。またDisputaするんじゃないの」

「おめぇは母親か!」


 2人が廉の方を勢いよく振り向き、声を荒げる。


「……ぷっ」

「……」

「何、笑ってんだよ」


 廉は2人の顔を見つめ、少ししてふき出した。

 悠翔と尋翔は、膨れっ面をその整った顔に張り付けて、廉を睨んだ。


「いやいや?何もないよ?」


 ニヤニヤ笑いながら廉は肩をすくめた。


「ウソだろ」

「あぁ。ぜってーウソだ」


 ケンカしていたハズの2人が同時に首を縦に振った。


「なんとでも。…オレ、2人の事、大好きだよ」


 視線を外して、廉は微笑んだ。


「うげっ!」

「何、その愛の告白!」

「え?エルオーブイーイーの方の愛じゃないよ?」


 きょとんとする廉は、どこか楽しそうだった。