「はいオッケー!お疲れーー」

「お疲れさまっす」

「お疲れー」

「お疲れ様ー」


 人込みをかき分け、悠翔は、スタジオの端っこに行った。


「よ」

「おう」


 その先には、弟の尋翔がいて。


「どうよ」

「何が」

「俺の演技」

「聞くまでもねぇだろが」

「だろーな」


 スケジュール帳とにらめっこを続ける尋翔。


「なぁ、て」

「んー」

「…おめぇ…」


 こっち向けっての。



「俺ぁ、てめぇのマネージャーだろうが。マネージャーなくして俳優はやってけんよ」


 尋翔は、相変わらずスケジュール帳とにらめっこを続けたままだ。



「おめ、昨日と言ってる事矛盾してんじゃねぇかよ!」

「なぁんの事ぉ?」

「てっめ…」


 間延びした言い方にイラッとしながら、これもまたいつもの事だと、ここはお兄ちゃんぶらなくてはと一旦深呼吸をするのは、兄の威厳をいつも忘れてしまいがちの悠翔で。