「うがぁっ!!……っは、っは、っは…」


 今日も聞こえる断末魔のような叫び声。


「ふふっ…」

「がぁああっああああ!!!」

「ここ、もっと深く傷つけてもいぃ?」


 尋翔がのけ反る度、両手首、両手足に付いた鎖が、ガチャン!ガチャン!と鈍い音を牢獄内に響かせる。

 これはもう何回目だろうか。

 いや、もうそんな事をカウントしている気力も無い。

 尋翔の意識が吹っ飛ぶまで、このやり取りは続けられた。


「ぐぁ…っ…」

「ん?…う~ん…昨日より意識が飛ぶまで時間が延びたね。……精神(メンタル)が強くなったって…事、かな…?ふふっ。…こんな状況でも人間って成長するもんなんだ………面白い」


 そう笑った影は、この間のようにタオルケットを尋翔にかけてやると、汗ばんだ尋翔の白い額にキスを落とし、牢を出た。


「ぁっ…ぅぁぁぁっ……………!」

 
 牢から苦しむ声が聞こえる。

 尋翔の寝言であろう。

 影は少しだけ足を止め、牢がある方を見つめた。


「………ごめん。…もう少しで楽にしてあげるから………。…その間、楽しませてよね…………?」


 眉を下げ、少し寂しそうに哀しそうに言った事に、きっと影は気付いていない。