目隠しを外され、さして明るくもない室内の明るさに眩暈がした。


「あぁ。眩暈した?ごめんね?」


 それは言う。

 顔は影に覆われており、見えない。

 さして明るくないとは言ったが、明るいより薄暗いの方が合っている暗さである。


「ねぇ。……面白い事、してもいいよね?」

「は?」


 また脈絡のない言葉だ。

 目を再び見開いた尋翔は、確かに見た。

 後ろで腕を組んでいる影の手元にあるものを。

 鋭く光るそれは。

 きっと。


「大丈夫。……痛いのは少しだけだから」

「!!」


 ナイフだ。

 ナイフが尋翔の白い首にツウと赤い線を引かせる。


「っああっ!!」

「声、大きいとお隣さんに聞こえちゃうよ?」


 囁く影は、楽しそうである。


「っひぃっ……!!!うぅっぁああっ…!」


 影は、尋翔の首に赤い線を引き続ける。


「痛いの?恐いの?…それとも………キモチイの?」

「っぐああああっ!!」


 首の上を走らせるだけだったナイフが、少しだけ尋翔の首に食い込む。


「ふっ…あぁっ…つぅっ、ああぅ……!」

「フフッ」