雨は酷くなるばかり。

 
「こっ…から…あと、少しっ…っは、は」


 廉の家の通りに着いた、尋翔。

 空が少し、淡い青に染まり出した。


「い、たっ……!!」


 濡れた道路のど真ん中にへたり込んでいる悠翔が、尋翔の視界の中に入って来た。


「ゆ、と…っ…ぅ、とっ……!!」


 遠くから呼びかけても、悠翔はこちらに気付かない様だ。

 
「ゆっ…う、と…!ゆう…とっ…!!」


 これだけ近付いて呼んでも、悠翔に反応はない。

 尋翔は、呼吸を整えて、再び悠翔の名前を呼んだ。


「悠翔!!悠翔!!悠翔!!」


 これだけ呼んでも、反応が無かったらかなりマズい状況である。


「ひ…ろ、と…?」


 良かった。

 反応してくれた。

 途端に溢れ出す感情を、抑える事が出来なくなった尋翔。


「バカ野郎!!どこ行ってたんだよ!」


 胸倉を掴んで、激しく悠翔を揺さぶった。

 同時に瞳から溢れる、大粒の雫。

 それをお構いなしに、尋翔は、悠翔の胸倉を掴み、揺さぶり続けた。


「探したんだぞ!!おめぇ!人に、どんだけ心配させりゃ済むんだ!バカたれ!!」


 あの日の父親や、母親の気持ちが痛いほどに分かった。