「父さんも母さんも、お前の事、大好きだよ」

「ウソ、だ……」


 信じられないと言ったような顔の悠翔。

 絡めた小指に、もう1度視線を尋翔は落とした。そして、再び悠翔に視線を戻した。


「大丈夫。みんなお前の事、見てるから。こんな事しなくたって、お前の事見てるから」


 俺や、父さん、母さん。

 きっと他にも、たくさんいる。

 お前は、1人じゃないよ?

 独りぼっちなんかじゃないから。信じて?お前自身を。見つめて?お前自身を。

 覚えてて。


「俺は、お前を裏切らない。………お前が好きだから」

「うん…。………うん…」


 その尋翔の言葉が、悠翔の耳に届いていたのか否か。

 悠翔はひたすら、首を縦に振った。