「はい、じゃあ1時間目のホームルームは、クラス役員を決めたいと思います」



1時間目はロングホームルーム。

クラス役員決めは、私の嫌いなことのうちのひとつ。



だって....



「はぁい、先生!代表委員の女子は花野さんがいいと思いまぁす」


クラスの女子ボス的な
遠藤麗華さんが言った。



.....ほらね。



「あ、それアタシも賛成ーっ、千夏も賛成だよねっ?」

「うんうん、花野さん真面目って感じだし、去年もやってたくない?向いてると思うよぉ」



........ザワザワ.....



はぁ。やっぱりね。

まぁ分かってたことだけど。




「花野さん、みんなはこう言ってるんだけど、どう?やってみる?」


これだけクラス全員で
断れない雰囲気出しといて
先生もよく聞いたよね。


「.....はい、やります」


さすが花野さぁん
サイコー
まじ頼りになるっ

とか言ってるけど、思ってないくせに。

どんだけ卑怯なの。




...違うか。
1番卑怯なのは、勇気出して断れないくせに思い通りにいかないからって心の中ですねてる自分か...。



ほんと嫌になる....。









「えーっなになに、今の強引な決め方!花野はほんとにいーの?」



シーン.......


え...?

さっきの伊織くんって人...。



「あ、うん、別に。去年もやってたから...「本人がいいって言ってんだし、伊織は麗華とまた図書委員やろぉよ!!」


遠藤さん......


「えー。図書委員、去年もそーだったじゃん。だから俺、代表委員やろっかな!」


え、伊織くんが代表委員?

相手が、こんな陰気くさい私だって分かって言ってるの?

しかも1番仕事量多いし...。



「ちょ、伊織。相手、花野さんだよっ...?」


「花野がなに?だめなの?」





なるべく目立たないように生活してきたのに...思いっきり裏目に出てる。




グラッ....

やばい、気分悪くなってきた...



「すいません、保健室行ってきます....」


「え?ああ、分かったわ。付き添いはいらない?」


「はい、...大丈夫です」



私はよく貧血を起こすから
もう慣れてしまった。


静かにドアを閉めてフラフラと保健室に向かった。






...ガラ


「お、花野、また貧血か?こっちのベッド使いな」

「すいません...」


この男の先生は保健体育科の吉木先生。

保健室の先生は出張が多く
不在なことが多いため、
吉木先生が留守番をしている。



「はいよ、水」

「ありがとうございます...」


ちょっとましになってきた...

今頃教室、どうなってんだろうなぁ...

まさかほんとに伊織くんが代表委員だったりして。


いや、ないない。

遠藤さんと図書委員になるんだろうし。



「吉木先生、次の授業始まる前に起こしてもらっていいですか...?」

「おう、ゆっくり寝とけ」



その言葉を聞いてから
私はゆっくり眠りについた。