...........ザワザワ.......


「おはよ〜っ!」
「ゆか、おはよ!」


「ちっすー、ってお前ねぐせひでぇ!!」
「うっせーよ!!」



.........騒がしい。

小説に集中できない。


挨拶の飛び交う教室の中
自分の席に座り小説を読んでいる私は、カバンの中からイヤホンを取り出し耳にはめこんだ。


...よし、これで集中できる。


と、思った矢先。



いきなりイヤホンをしてても聞こえる程の大きな声が教室に響き渡った。


「みんな、おっはっよー!!!!」


シーン......


「ばーっか、伊織うっせんだよ!!」


「「「あっはっはっは!」」」


なに...?うるさいんだけど!

なんでみんなそんなに笑ってるの?

今のなにがおもしろかったの?

私やっぱりツボがずれてる...。



「伊織、なんでそんなテンション高いんだよ!」

「いや、朝さ、超綺麗なOLとすれ違ったんだよ!」


普通そんなのでテンション上がるもんなの?

私からしたら、超イケメンなサラリーマンとすれ違ったって感じかな?

え...そんなテンション上がらないんだけど。


「まじ!で、そのOLがどうしたの!」

「え...?すれ違っただけなんだけど...」



............ドッ

「「「ははははは!!」」」


「それだけかよ!ほんと単純なやつだな伊織は!」




すごい、みんな笑ってる。

男子も女子もみんな。



..........楽しそうだなぁ。






....はっ、いやいや、別に楽しそうだけど、絶対めんどくさいし。


いきなり何を考えてんだか私...。



私はあわてて読書に戻った。



...にしても、あの中心にいる伊織って人、やたらキラキラしてて私とは別世界って感じだな。


私の視線は、読んでいる小説と伊織って人の背中を行き来してた。


伊織くんの世界はどんなだろう...?