「わかったから、もう授業にいくよ」
「あ、まって!」
踵を返してあるきだそうとした沙羅をあわてて追いかける。
隣に並ぶと沙羅がふと思い付いた顔をして私にいった。
「葵、今日放課後ひま?」
「あー、今日は来月の合宿のミーティングがあるー」
「そっかー、なら明日は?」
「1年の練習に付き合わなくちゃいけない、、、。」
少しげっそりとして答える。
1年はよくも悪くもキャラが濃いから、疲れるんだよー。
みるからに不服そうな態度が伝わったのか、沙羅は笑いだした。
「まぁ、確かにいつも疲れてるよなー、葵。1年の練習のあと。」
「そーだよー、あいつもいるし、、、。」
あいつこと、宍戸康介【シシドコウスケ】は私たちのひとつ後輩。
私は水泳部マネージャーなんだけど、あいつは水泳部のスーパールーキーって呼ばれてる。
そして、性格は悪いくせにルックスはいいからすっごくもてる、、らしい。
塩素で色の抜けた金色に近いサラサラな茶色の髪。
くりくりとした可愛い目。
身長は私と変わんないから、168ぐらいだと思う。だから、男子としてはそんなに高くはない。
けど、なぜかすごいもてる、、、。なぜだ!?
「けど、どうしたの?沙羅から誘うなんて珍しい」
いつもは私から誘うばかりなのに、まぁ、嬉しいけどね、誘ってくれたら。
「あのね、来週さ、亮の誕生日、、、なんだよね。だから、葵にプレゼント選び手伝ってほしいなと思って、、さ。」
顔を赤くしながら、うつむき気味にいう沙羅。
「そっかー、亮くん来週誕生日だったっけ?」
「うん、そーなの。」
相変わらず照れながら、歩いている沙羅はすごく女の子らしくてかわいい
沙羅は亮くんのことになると、反応も表情も違ってくるからなぁ
亮くん=楠井亮【クスイリョウ】は沙羅の中学時代から付き合っている彼氏で、付き合って3年たった今でもラブラブらしい。
お互いが相手のことを思いあってるのが伝わってくる、私の理想のカップルなんだ。
一方の私は付き合うどころか、好きなひとさえいないという始末。
この違いはなに!?

