「あーもー、今日という今日は許さない!」

すごい勢いで廊下を駆け抜けていく私。

「しらねーよ、お前が勝手に転んだんだろ?」

その前を飄々と走っていくあいつ

周りがまたか、という顔で私たちを見ている。

私は悪くないのにー!悪いのはぜーんぶあいつ、、、康介なのにー!

なんでよー!

そんなことを頭でもんもんと考えて、油断しているうちにあいつはさっさとどこかに逃げてしまった。

「あー、また逃げられたーー!」

激しい虚脱感が起こり、思わず私はその場に座り込む。
夏をもう目の前に控えた今日は暑くて、額に汗がにじんでくる。 

「夏、だなぁ、、、」

周りに誰もいないのをいいことにひとりでぽつりと呟く。
先週、梅雨明け宣言がでてまもないのに、太陽の光はまるで真夏の日のようで、思わず目を細める。

「帰ろ」