デイジー

せめて光希は反対してくれるよな?

『そんなの買う奴いねぇ』って。



「あ~、面白いかもね。浩輔の甘ったれ加減とか~、啓太の部屋のきったなさとか~、薫のマイペースぶりとか~、そういうのぜーんぶ見せちゃえ~!

案外ファンが増えるかもよ?」


何が『全部見せちゃえー』だ!

何が『ファンが増えるかもよ?』だ!




み……光希にも裏切られた気分……






別に見られて困るような生活はしてないし、俺ら自身をもっと知ってもらうっていいことなのかもしれない。

だけど、見えない部分があるからいいんじゃねぇの?

…っつーか、プライベート切り売りしなきゃダメなのか?







「最初は雑誌の企画だったみたいだよ。

いろんなタレントさんとリレー形式に載せる予定だったんだって。」

「じゃあ、何で俺らのところに?」

「何でだろうね?その辺は詳しく聞かなかったよ~。

でもさ~、面白そうだよね~。

俺らのプライベートが丸裸~


あ、最後の1枚焼けるよ~」


「俺、お腹いっぱい!食べ過ぎた~!」

そう言って光希は箸を置いた。

……最近、光希の食べる量が減ってる気がするんだけど……

「光希~、ダイエット中?最近食べるの少なくなったよね~」



さすがママ 浩輔。

よく見てるよ。光希だけじゃなく、啓太のことも、俺のことも。

よく見てるから、ほらっ。

啓太の皿が空いてても、お代わり入れやしない。


「光希が食わないなら俺が食う~」

「啓太はダメ~!最近太ったでしょ~!食べても運動しないから、衣装とかキツくなってんじゃん!

それに、これ以上太ったらステージのパフォーマンスが落ちるよ~!」


………っていうのまではよかった。

でもな?なんで最後の一枚が俺の皿に?

俺だって太るぞ…

ん?俺なら太ってもいいってことか?

…つか、俺も腹一杯。

さすがに食えないでしょ。


「薫は大丈夫!食べても運動するから太らないし、これくらいなら軽い!」


………軽く………ない。

ないけど………せっかく浩輔が作ってくれたし…


「全部は無理!

半分は啓太にやるよ。」

「やった~!」

「薫は甘いよね~。」


そう言いながらも、お好み焼きを半分に切ってる浩輔も甘いよな。


でもさ、啓太の嬉しそうな顔見てると、甘やかしたくもなるんだよ。

……ムカつく時もあるけど…