「結婚ですか?」
「さっき言ったように、ユフィールが望めば結婚してもいいよ。兄貴が、何というかわからないけど」
「そ、それは……」
「嫌だ?」
「嫌では……」
「ユフィールって、評判がいいよね」
それは、ウィルからの感想ではなかった。ただメイド達から聞いたという感想をそのまま伝えただけであったが、ユフィールにしてみればウィルが気にしてくれているだけでも嬉しい。
だが本音は、ウィルからの感想が欲しかった。しかし、今の言葉で十分であったのも本音だ。
「しかし、何で帰ってくるのかな。どうせ夫婦仲良くしているんだから、構わないでほしいよ」
ふと、ウィルの本音に近い愚痴が発せられた。所詮ウィルにとって両親という存在は「煩くて面倒」という認識で片付けることができる存在であったので、アルン同様に会いたくない人物。無論、惚気も聞きたくはない。それだけ、あの惚気には凄まじい破壊力があった。
「……結婚は、お嫌いですか?」
「えっ!?」
「先程は望めば結婚してもいいと仰いましたが、今はあまり気にしている様子がないので……」
「違う違う! 結婚のことと両親のことは、別問題だよ。あの二人は、結婚以前から周囲に迷惑を掛けていたらしいけど」
必死に、ウィルは弁解していく。どうやらユフィールは、おかしな方向に捉えてしまったようだ。
しかしウィルにしてみれば、結婚は嫌いではない。逆に、好きな相手と一緒になりたいと思っている。
現在、きちんと好きな対象がいる。ただ、少々自己嫌悪が激しいのが難点だが、その原因を生み出しているのが、ラヴィーダ家の面々ということは、ウィルは何となくわかっている。
「あの……ウィル様」
「何?」
「やはり、御姉ちゃん達の方が先でしょうか」
「まあ、年齢的に。どうして、どのようなことを聞くのかな? 何と言うか、兄貴はあれだし」


