全てはウィルの為になると頑張ってきたアルンであったが、それを拒否されてしまうとは――その内容に暫く呆然と立ち尽くしていると、徐に口を開く。
そして言い訳に近い内容の言葉を発し、ウィルを呆れさせてしまう。まさに、自己弁護であった。
「お前だって、嫌だろ」
「嫌だけど、八つ当たりはいけないよ」
「八つ当たりは、していない」
「いや、違うと思う」
鈍感な性格だと思われていたウィルであったが、少しずつ変わりはじめていた。いつもの性格であったら、何も言わずに知らん顔をしていただろう。今回は、ユフィールを守っている。
突然の変化に、アルンは驚いてしまう。普通なら、その変化を両手を上げて喜ぶだろう。アルンは、素直に喜ぶことができない。鈍感でなくなったら、意味がない。何より鈍感だったからこそ、恋愛に疎い一面を見せていた。それが変わりはじめたとなれば、いつかは恋愛に目覚めてしまう。
「ユフィール、いいかな?」
「は、はい」
ウィルはユフィールを側まで呼び寄せると、何やら耳打ちをはじめる。当初その内容に驚いた様子のユフィールであったが、ウィルからの命令だということで素直に受け入れることにした。
一呼吸置いた後、アルンにとって衝撃的な内容を口にすることにする。それは、セシリアに関してのことであった。
「そ、それは……」
「兄貴って、本当に弱いね」
「仕方ないだろ」
その発言には、様々な意味合いが込められていた。その大きな理由として、セシリアがいなければ仕事が進まない。
いや、行えないのだ。
その為、いなくなってしまったらアルンが困る。
それは、アルンだけではない。それに付随する関係者も、困ってしまう。
実質アルンではなく、セシリアが動かしているといっていいだろう。それほど、セシリアの存在は大きい。
「それなら、告白すればいいんだよ」
「そうか?」
「好きだというのなら、遠慮することはないよ。それに、セシリアさんだって待っていると思うよ」


