甘みを消すには、渋みで調和する。そう考えたウィルはティーカップに紅茶を注ぐと、まずは甘い紅茶を飲み干す。そして間髪いれずに渋い紅茶を飲む。そんな慌しい行動にユフィールは何があったのか訊ねるも、ウィルからの回答はない。それどころか、顔を歪めていた。
「ウ、ウィル様?」
「うわ、不味い」
思わず口走ってしまった一言は、ユフィールの心に深く突き刺さってしまう。そして次の瞬間、シクシクと泣き出してしまった。唐突な出来事に、ウィルは目を丸くして驚く。懸命に泣き止むように説得するも、それは逆効果だった。お陰で、かなり居づらい状況となる。
「不味いですか」
「えっ! ああ、違う」
無論、今回の飲み物は自分が大量に砂糖を入れたのがいけない。ユフィールは、自分が悪いと自己嫌悪に陥る。ウィルにしてみたら困った事柄でもあったので、渋い表情を浮かべる。
できるものなら、物事を大らかに捉えてくれると有難い。
しかしそれが、彼女の特徴といえば、特徴。そのような人物を好きになってしまったのだから、今更後悔しても遅い。
ただ何かあった場合、すぐに泣かれることも苦手だったが、これはこれで可愛いと認識もできる。それにユフィールはユフィールなりに頑張っているので、それを認めないといけない。
「本当に、違うから」
「そ、そうでしょうか……」
「そう。ユフィールは、悪くはない」
「……はい」
「それにそんなに自分が悪いと責めていると、上手くいくものが上手くいかないよ。それに……」
それ以上は、言葉が続かなかった。その先に続く言葉は別に悪い意味はなかったが、今は早く元気になってほしいと思っていた。それに、この現場をメイド達に見られたら実に恐ろしい。
途中で言葉を止めたことにより、更に状況が悪化してしまう。何か悪いことを言いかけたと勘違いしたユフィールが、再び泣き出してしまったのだ。
こうなってしまうと、ウィルは苦笑いを浮かべるしかない。頭をポリポリと掻きながら、どのように乗り切るか考え込む。
その時、扉が勢いよく開かれた。そしてズカズカと部屋の中に入ってきたのは、何とアルンであった。


