しかしウィルにしてみればいい迷惑であり、誰も助けてくれないことを嘆いた。
そして、二回目の叫び声が響く。
◇◆◇◆◇◆
ディオンを風呂に入れた後、自身の身体を洗い終えたウィルは機嫌が悪かった。ディオンに鼻水をつけられたことが余程ショックだったのか、ブスっとした表情が治ることはない。
ただ黙々と食事を続け、庭で日光浴をしているディオンを見つめる。
風呂に入れてもらったことに機嫌が良いのか、気持ち良さそうな寝姿は先程の件を忘れているようであった。
「……まったく」
ブツブツと文句を言いながらの食事は、消化に悪い。
そのことを伝えるべくウィルの後ろに立っているユフィールだったが、全身から発せられる怒りのオーラに何も言えないでいた。
だが、このまま何も言わないわけにもいかない。意を決し口を開くと、食事の仕方を注意した。
するとその言葉に、ウィルの動きが止まる。そしてゆっくりと振り返ると、ユフィールの顔を見詰めた。
急に見詰められたことに、思わず固まってしまう。徐々に顔が赤く染まっていき、思わず俯く。
そして何か悪いことを言ってしまったのだと勘違いしたのか「御免なさい」と、謝りの言葉を言う。
「何? いきなり」
「ご気分を害されたかと……」
「そんなことはないよ。それより、お茶いい?」
「は、はい」
その言葉に慌ててテーブルの上に置いてあったティーポットから、紅茶を並々と注ぐ。しかし長い時間このままの状態にあったのだろう、注がれた紅茶の色がやけに濃い。口に含むと、予想通り渋かった。
苦味を消すために、ウィルは砂糖を大量に入れていく。だが逆に、今度は甘すぎて飲めなくなってしまった。しかしユフィールを目の前にし、捨てるもしくは吐き出すなどできない。
それに、砂糖を大量に入れたのはウィル自身。まさに自業自得の展開に、どうしたらいいのか悩む。
だが、答えはひとつしかない。そう、思い切って飲む。身体を悪くしようが、これしかなかった。
大量に砂糖が入れられた紅茶を暫く見詰めていると、大きく頷き一気に飲み干す。その瞬間、口の中に言葉では表せないほどの甘みが広がり、気分が悪くなってくる。だが、ユフィールは気付いていない。


