ユーダリル


「駄目ね。恋は、積極的に行かないと。特に相手がウィル様の場合、尚更よね。あのアルン様が、妨害しているのだから」

「そうね。だからこそ、私達がバックアップしてあげないといけないのよ。この恋を成功させるわよ」

 互いの顔を見合すメイドは不適な笑みを浮かべると、これからの計画を立てていく。内容は、はじめから決まっていた。そう「何が何でも、二人をくっつける」というものだった。

 「楽しめるものは楽しめる」という個人的なことも忘れないメイド達。休憩部屋の中から、狂ったような笑い声が響く。その声に屋敷で働いていたメイド以外の者達は、一斉に戦いたという。




 休憩部屋から逃げ出たユフィールは、俯きながら廊下を歩いていた。メイド仲間に頼めば簡単に済むと思っていたが、それは甘い考えであった。彼女達は、他人の恋愛を楽しんでいる――今回の件で、それがハッキリと判明した。よって、頼むことは身の危険が伴ってしまう。

 ユフィールはマフラーを見詰めつつ、溜息をつく。そう、これといって宛がない。メイド仲間が無理とわかったら料理人に頼むという手があるが、頼みにくいというのが正直なところ。

 再び溜息がつかれる。ふと、ユフィールの姉セシリアの声が響いた。俯きながら歩いていたので気づかなかったが、いつの間にかセシリアの私室まで来てしまっていた。悲しげな表情を浮かべる妹に、セシリアは何があったのか尋ねる。するとユフィールは、今までの出来事を話だす。

「あら、そうだったの」

「お姉ちゃん、お願いできる?」

「私は構わないけど……そうね、アルン様にお願いしましょうか」

「で、でも……」

 アルンの性格は、ユフィールも知っている。過度のブラコンは、あまりにも有名。そのような人物に頼むとなると、後で何をされるかわかったものではない。ウィルとユフィールの関係は、無論アルンも知っている。知っているからこそ、二人の仲を邪魔しようと策略中。

「大丈夫。私が何とかするわ」

 セシリアの心強い台詞に、ユフィールは頷く。アルンとセシリアの関係も、これまた有名であった。そしてあのアルンが、セシリアに頭が上がらないことも。完璧に、尻に敷かれているといっていい。また、仕事をまかせっきり。だからこそ、セシリアは強気に出ることができた。