「あの時は、悪いと思っている」
「それだけ?」
「いや、用件は他にある」
すると、ロバートは四角い箱を差し出す。ウィルはそれを受け取ると、箱とロバートを交互に見る。箱の中身が気になるところだが、それ以前にロバートの不可思議な行動の方が怪しい。
「何?」
「プレゼントだ」
「何、いきなり」
ロバートの読めない行動に、今度はウィルが動揺してしまう。しかしプレゼントということなので、おかしな物ではないだろう。それにロバートは、ウィルの性格を熟知している。よって怒らせるようなことはしないと思われるが、根に持っている場合、油断はできない。
「どうぞ」
「……う、うん」
促されるまま、箱を開けてみることにした。すると、美味しそうなプディングが目に飛び込んでくる。ウィルは反射的に、ロバートの顔を見てしまう。中に入っていた物とロバートが、あまりにもミスマッチであったからだ。歪な形のプディングで、どうやら手作りのようだ。
「作ったんだ」
「トレジャーハンターを引退し、今は菓子職人を目指している。だから、プロになったら買ってほしい」
意外な方向転換に、ウィルは言葉が出ないでいた。何でも男の話では、無礼な行為を詫びる為に、プディングを作ってきたという。何とも礼儀正しい一面を持つ男であるが、先程から漂う香りに少し機嫌が悪かった。
「材料は何?」
「普通の菓子を作る材料を使っている」
「この色が、気になるんだよ」
指し示すプディングの色は、通常あり得ない色をしていた。薄緑色――このような色のプディングは、見たこともない。すると男はポンっと手を叩き、何を混ぜ入れたのか説明をはじめた。
「ピーマンを入れてみた」
説明された材料に、ウィルは固まってしまう。ピーマン――まさかこの名前が出てくるとは、思いもしなかった。てっきり葉物の野菜をすり潰し混ぜ合わせて作ったお菓子だと思われたが、ピーマンとなれば話は別。ウィルはプディングを見詰めながら、どう処分してよいか考え込む。


