「何かやらかした?」
「何もやっていない」
「なら、何の呼び出しだろう」
「誕生日?」
「いや、それは早いよ」
呼び出される理由がわかないゲーリーと、必死に理由を考えるウィルは腕を組み同じように首を傾げる。
すると後方で二人の姿を見ていたディオンが、真似するように首を傾げた。
「お前はいいんだよ」
「慣れているな」
「可愛いだろう」
ウィルの言葉にディオンは、嬉しそうに身体を左右に振りドシドシとその場で足踏みをはじめる。
だが、巨大な身体での足踏みは通行人の邪魔になってしまう。
ウィルはディオンの身体を押すと、人通りが少ない裏道へと連れて行く。
これで邪魔にならずに、ゆっくりと話し合いができる。
「話が逸れた」
「まあ、いいよ。で、ギルドマスターの手紙をどう思う。本能が「ヤバイ」と、訴えている」
相手は、曲者のギルドマスター。
いい事で呼ばれるというより、悪い事で呼ばれる確立が高い。
といって、逃げ出すわけにはいかない。
あの人物から逃げ出した場合、後で何が待っているかわかったものではないからだ。
何せ、以前のマスターの地位を夫から奪った人物なのだから。
「一緒に行こう」
「嫌だよ」
「仲間じゃないか」
「でも、呼ばれているのは一人だろう? それだというのに、二人で行ったら何を言われるか……」
鋭い指摘に、ゲーリーは顔を引き攣らせる。
確かに、二人で行ったら何を言われるかわかったものではない。
この手紙を読むところ、ゲーリー一人で来るように読み取ることができる。
それにウィルは、これから行かなければいけない場所がある。
ゲーリーに対し丁寧に断ると、何か悪いことが起こらないことを願っていると言い残し、ディオンと一緒に工房エリアに向かう。
一人取り残されたゲーリー。
彼はお通夜に向かうような表情で、ギルドマスターのもとへ向かった。


