しかしウィルは、その提案を却下する。現在、ディオンが懐いているのは主人のウィルとユフィール。それ以外の人物――特に見ず知らずの人間を乗せたら、ディオンは振り落とす。
その説明に、ゲーリーは納得する。シュナイダーを振り落とし亡くなってしまったら、大問題に発展してしまう。するとシュナイダーも振り落とされたくないのだろう、徒歩で行くと言ってくれた。
「すみません」
「いえ、死にたくないですので」
「では、案内します」
その言葉にシュナイダーは頷き返すと、トコトコとウィルとゲーリーの後に続き歩き出す。
だが、島と島を結ぶ橋の手前で止まってしまう。しかし、この橋を渡らないと目的地に到着できない。ウィルの説明に一瞬躊躇いの表情を作るが、意を決し橋を渡っていくのだった。
「大丈夫ですか?」
「な、何とか」
「無事で良かったです」
「この場所に来る前に地理の勉強をしてきましたが、まさかこれほどとは……凄い所に暮らしていますね」
「暮らしていれば、慣れますよ」
「だよな。あと此処で産まれれば、これが普通になっているし。島の隅でも、遊べるからな」
笑いながら語っていくウィルとゲーリーの姿に、シュナイダーは苦笑いを浮かべていた。流石に、シュナイダー自身は島の隅で遊ぶことはできない。このように、橋を渡るのに苦労しているのだから。
すると何を思ったのか、シュナイダーが「行かない」という否定の言葉を言い出した。勿論それは島の隅に行かないということで、遺跡調査に行かないということではない。しかし、二人は勘違いする。
「仕事、終了ですか?」
「違います」
「ですが、今「行かない」と――」
「それは、島の隅の話です」
その言葉にウィルとゲーリーは納得したように頷き、間延びした声を出す。しかし内心では、仕事が終了するということで喜んでいた。それが違うとわかった瞬間、二人はシュナイダーに気付かれないように残念がる。といって、仕事を途中で放棄することはできない。


