心の中で不気味な計画を練っているウィルを他所に、ユフィールとダニーは熱く語っていた。
だが、これ以上長々と話している時間は無い。当初の目的は、ユフィールが行きたい場所に行くというものだ。ウィルはユフィールに視線を向けると、話が終わったかどうか尋ねた。
「はい。大丈夫です」
「良かった」
「本当に、有難うございます」
「いや、こっちも有難う」
予想外の寄り道で、最高の土産を手に入れた。ただ自分の物にならないというのは正直悔しいが、これは未完成品でユフィールの指摘が多い物なので、素直にこの膝掛けをアルンに渡すことができる。
ウィルは片手を上げ「行く」と言い、牧場を後にする。一方のユフィールはダニーに深々と頭を垂れると、膝掛けを大事に両腕で抱きかかえると、小走りでウィルを追い駆けるのだった。
「すぐに、渡しに行きますか」
「あれ? 目的の場所は?」
「宜しいのですか?」
「いいよ。兄貴に頼まれたのは、宿探し。これに関しては、兄貴は知らないことだよ。だからいいんだ」
「それでしたら……」
本当は真っ直ぐ屋敷に戻るべきだが、ウィルはのんびりとした時間を過ごしたいので、ユフィールの意見を却下する。それを聞いたユフィールは、ウィルの意見に従うように頷き了承した。
彼女の性格上、ウィルに逆らうことは滅多にない。従順で、子犬のように付いて回るのがユフィールだ。
「で、ユフィールが行きたい場所は、この近くだったよね。場所が、間違っていなければだけど」
「あちらです」
「よし! 出発」
ユフィールが指差す方向を一瞥すると、ウィルは頷き目的地へ出発する。今度は二人とも、真っ直ぐに目的地に向かう。
そのお陰で、ユフィールが言っていた場所に短時間で到着することができた。その場所は説明の通り、素晴らしい場所だった。色彩豊かな花が咲き乱れ、大小様々な蝶が飛び交う。甘い香りは花から漂うものか、自然が作り出した香りにユフィールはうっとりとしていた。


