だが、アルンは今日セシリアと結婚した。そのことをダニーに話すと、彼の表情が一変する。
まず最初に作った表情は、驚きを隠せないというもの。そして次に変化した表情は、喜びを表現している。次々と変わっていく表情に、ウィルとユフィールは目が点になってしまう。
すると何かいいことを思い付いたのか、ダニーはポンっと手を叩く。そして建物へ駆けていこうと踵を返すが、再び振り返りウィルとユフィールにこの場所で待っていて欲しいと頼む。
「う、うん」
「わかりました」
二人の返事を受けると、ダニーは急いで自宅へ戻っていく。その慌しい姿にウィルとユフィールは互いの顔を見合わせると、同時に首を傾げていた。二人とも、ダニーの行動の理由が掴めなかったのだ。
暫くすると、紙包みを手にしたダニーが戻って来る。何でも、これをアルンに手渡して欲しいらしい。
「兄貴に?」
「結婚祝いです」
「中身は?」
「黒羊の毛を使用した、膝掛けです」
「いいよ」
中身がどのような物か知った瞬間、ウィルはそれをつき返していた。結婚祝として貰う分にはいいが、このような高価な物は貰っていられない。何より、アルンには勿体無過ぎる。
しかしダニーは、これを手渡して欲しいという。会社の重役達がアルンの結婚を喜ぶように、ユーダリルの住人達も彼の結婚を喜ぶ。その理由に関しても、重役達と同じ内容だった。
「なら、渡しておくよ」
「すみません」
「いい物を頂きましたね」
「兄貴には、勿体無いけどね」
「あの……中身を見ていいですか」
「いいよ」
好奇心が疼くのか、ユフィールは両手を胸元で組むと、目を輝かせながらウィルが持つ紙袋に視線を送る。彼女が値段をどうこう気にする性格ではないが、どうやら目新しい物には興味がいくらしい。ユフィールの言葉にウィルは持っていた紙袋を開くと、中身を彼女の前に差し出していた。


