ユーダリル


「部屋の様子を見ていいですか?」

「はい。此方です」

 女は階段が設置されている方向を手で示すと、ウィルとユフィールを案内する。角部屋ということで、部屋の面積が広い。それに一軒目の宿より、部屋の中に置かれている物が豪華だ。

 ウィルは部屋の中に立ち入ると、細かい部分のチェックを行なう。最初に目をやったのは、二つの寝台。シーツにシミが付いていないか、その点を重点的にチェックしていくのだった。
メイド達がきちんと仕事をしているので、どうもウィルはこのような部分を厳しい目で見てしまう。

 この宿では毎日丁寧に洗濯を行なっているのだろう、敷かれているシーツは純白で美しい。それにきちんとシワが伸ばされており、まるで新品のシーツをおろしたばかりのようだった。

「ユフィールは、どう思う?」

「いいと思います」

「これなら、大丈夫だね」

 両親は庶民感覚を持ってはいないが、金持ち特有の図々しい部分は持っていない。最低限の物が用意され、綺麗に掃除されていれば文句を言わないだろう。なら、この部屋で十分だ。

「予約はいいですか」

「はい。勿論です」

「じゃあ、今日から……何日?」

「私は、何も……」

 肝心の日数を聞いていなかったことに、ウィルはシマッタという表情を作る。しかし、アルンは「金に糸目を付けない」と、言っていた。なら、何日も滞在が可能だろう。何せ、全部アルンが支払ってくれるのだから。それ以前に、両親が泊まる宿を見付けない方が、何を言われるかわかったものではない。

「今日から、泊り客が帰るまで」

「それは、構いませんが……」

「何か問題かな」

「いえ、お値段が……」

「それは、大丈夫。後で、まとめて支払うから」

 後で泊り客の正体がバレてトラブルに繋がってはいけないと、ウィルは先にどのような人物が泊まるのか説明する。勿論、ウィルが言うファミリーネームに相手は驚きの表情を作った。それはそうである。何せ、ラヴィーダ家は様々な意味で有名なのだから。特に、アルンが。