ユーダリル


「は、はい」

 突然の心境の変化に、ユフィールは動揺を隠せない。何か恐ろしいものを本能的に感じ取ったのか、反射的にウィルに視線を向け、何か言って欲しいと視線で訴えかけていくのだった。

「怖いって」

「な、何でだ」

「兄貴が、変わったから」

「お前が、義理の妹と言ったからだ」

 弟の矛盾する言い方にアルンは声を荒げると、どのような対応の仕方をすればいいか尋ねる。

 それに対しウィルは、簡単に説明していく。

 口調は今までのままでいいが、その中に義理の妹に対しての「優しさ」を含めて欲しいということだ。

 その意見に、アルンは一瞬考え込む。だが、これを否定する理由もないので、素直に受け入れていた。

「じゃあ、改めて」

「宜しくお願いします」

「こ、此方こそ」

 深々と頭を下げてくるユフィールに対し、釣られる形でアルンも頭を下げる。その面白い姿に、ウィルはケラケラと笑う。いや、笑ったのはウィルだけではない。他の参列者も、同じだった。

「わ、笑うな」

「だって」

「まあ、仕方がない」

「兄貴、丸くなったね」

「茶化すな」

「茶化していないよ。本当のことを言っているんだ。で、父さんと母さんは来ていないんだね」

「遅れるそうだ」

「そ、そうなんだ」

 息子の結婚式を遅刻する両親も、凄いものがある。普通の両親であったら、前日にやって来るもの。

 しかしあの二人の性格を考えると、これも仕方がないと横に流すことができる。それにアルン曰く「寧ろ、いない方がいい」ということだ。兄の本音にウィルは苦笑いを浮かべるが、気持ちはわからなくもない。内心ウィルも、両親が式に参加しないことを喜んでいた。