こうなると、流石に受け取らないといけない。ユフィールはウィルが手渡してくる皿を受け取ると、フォークを握る。そして、カリカリに焼かれているベーコンを刺し口に運んだ。
「美味しい?」
「美味しいです」
「じゃあ、食べようかな」
「それって、毒見ですか!」
ウィルの発言に、ユフィールは反射的に文句を言っていた。勿論ウィルはユフィール相手に「毒見」をさせるわけがないのだが、この発言は「毒見」と捉えられてもおかしくはない。
不信感を持つユフィールに、ウィルは必死に「違う」ということを伝えていく。それにアルンとセシリアの結婚式で出される料理に、毒が入っているわけがない。そのあたりも、きちんと説明した。
それを聞いたユフィールは、料理に視線を落としつつ納得した様子を見せる。そして甘く煮た人参を口にすると、美味しそうに食べるのだった。自分の説明で納得してくれたことに、ウィルはホッと胸を撫で下ろす。それだけ、彼女が機嫌が悪いのは精神的に相当堪える。
その時、アルンがウィルに声を掛けてくる。どうやら、ウィルが何をしているのか心配になり、やって来たようだ。
「あれ? 兄貴一人?」
「セシリアは、重役達に捕まっている」
「仕事の話?」
「そうだと思う」
一生に一度のめでたい日でも、仕事の話を持ち込まないといけないとは……それだけ、仕事が溜まっている証拠だろう。アルンの説明に、ウィルは料理を食べつつ苦笑してしまう。
弟の苦笑に、アルンが口を開く。しかしそれを遮るかのように、ユフィールの声音が混じった。
「何だ」
「そんな言い方、駄目だよ。兄貴が結婚したのだから、ユフィールは兄貴の義理の妹になるんだよ」
「そ、そうだったな」
ユフィールは、アルンの妻となったセシリアの妹。ウィルが言うように、義理の妹となった人物だ。つまり、彼女は身内。彼女はメイドとして働いているが、厳しい態度で八つ当たりはできない。それに気付いたアルンは、素直に折れたのか「宜しく」と、小声で言った。


