完全に、噂好きの女の子となっていた。
メイド達は互いの顔を見合い、わいわいと話していく。だが、彼女達も立場を弁えているので、派手に騒ぐことはしない。
まずは、メイド長に今回の出来事を話さないといけない。そして、時間を掛けて準備を進める。
結婚式は、一生に一度の出来事。
その為、念入りの準備は欠かせない。
そんな彼女達の態度に、ウィルは首を傾げる。プロポーズが成功したのだから、すぐに式を挙げた方がいいのではないか。そう指摘すると、ユフィールのオズオズトした声音が響いた。
「それは、無理です」
「どうして」
「参加者の都合があります」
「ああ、そうか」
ウィルの知り合いや仕事仲間であったら、すぐに集まることができる。しかしアルンやセシリアの関係者は、そう簡単に集まることができない。特に、仕事の重役達は尚更である。
彼女の説明に、納得したようにポンっと手を叩く。どうやらメイド達以上に、ウィルが先走っていたようだ。
「じゃあ、時間が掛かるね」
「そうなります」
「こういうのはわからないから、任せるよ」
「お任せ下さい」
ウィルの言葉に、メイド達全員が一斉に返事を返す。彼女達も、今回の出来事には力が入る。そして彼女達は深々と一礼すると、それぞれ休憩室から出て行き、残ったのはウィルとユフィールだけだった。
「席は、隣同士だね」
「席?」
「結婚式だよ」
「あっ! はい」
互いに付き合っている同士なので、勿論席は隣同士だろう。だが心配なのだろう、このように尋ねてくる。
ユフィールの答えは、最初から決まっていた。それに彼女も、ウィルの隣で座りたいと思っている。彼女にしてみれば、この質問は愚問だ。といって、彼女の性格上「愚問」という言葉を言うことはない。ただ可愛らしい笑顔を作り、ウィルに視線を向けているのだった。


