ユーダリル


「何で?」

「お前は養う」

「理由がわからない」

「何故、わからない」

「普通は、無理だよ」

 アルンの言葉は、まさに唐突的。これで理解できる方が、凄いといえる。ウィルは困った表情を浮かべていると、更にアルンの声音が続く。何でも、弟にプロポーズの苦労を味合わせたくないらしい。

 その発言に、ウィルとセシリアは硬直してしまう。そして意味が理解できないディオンは、キョトンっとしていた。一方アルンはいい事を言ったと思っているのか、堂々とした態度を取る。

 プロポーズをしても、自分の弟の心配をする。素晴らしい兄弟愛と褒められなくもないが、度が過ぎる。

 だが、それは許されるものではない。ウィルは口を開き、自分の意思を示そうとするが、その前にセシリアが口を開いた。

「アルン様!」

「な、何?」

「どうして、そのように決めてしまうのですか。ウィル様にはウィル様の人生があるのですから」

 プロポーズをしたり受けたりしている二人であったが、今では一変し修羅場と化してしまう。慌てて、ウィルが止めに入る。しかし、興奮した二人を止めることはできないでいた。

 どうして、こうなってしまったのか。

 ウィルは、頭を抱えるしかない。

「見守るか」

 こうなると、何を言っても無駄と知る。ウィルはディオンを連れ遠巻きで、二人の喧嘩を眺める。

 まだ二人は正式に結婚していないが、結婚したら毎日このようになってしまうのかと思う。

 現在も、仕事をしないアルンに葉っぱを掛けているセシリア。これが夫婦となった後、どうなってしまうかは火を見るより明らか。今以上の修羅場が間違いなく、下手すれば血を見る。

 だが、見方によっては「喧嘩するほど仲がいい」になるが、それを目撃している側にしてみれば気持ちがいいものはない。何度も溜息を付くウィル。するとディオンが鋭い声音で鳴き、何を思ったのか喧嘩をしている二人の前に行く。そしてそれぞれの顔を見詰め、威嚇していった。