ウィルの何処がいい。

 どうして、好きになったのか。

 何処まで、進展しているのか。

 質問の数々は、完全におばちゃんの井戸端会議状態であった。一方ユフィールは、アタフタしてしまう。流石に見兼ねたウィルが、横から言葉を挟む。これは完全に、プライベートだ。

「そんなことより、仕事」

「えーっと、紅茶です」

 ティーポットとカップをテーブルに置くタイミングを失ったユフィールは、やっとテーブルに置くチャンスを見付ける。二人の前にカップを置くと、並々と紅茶を注いでいく。そして一礼の後立ち去ろうとしたが、アルンの頼みごとを思い出し、それについて尋ねていった。

「兄貴?」

「は、はい」

「それなら、言わないといけないか……と言うけど、まだ決まっていないんだよね。決まったら言うよ」

「わかりました」

 それだけを言い残すと、深々と頭を垂れ部屋から出て行く。同時に、ゲーリーが口を開いた。

「うちと違うね」

「そうか?」

「うちは、放任主義。末っ子って、普通は周囲から愛されるものだろう? 逆だから寂しい」

「寂しいって、年齢じゃないだろう」

 ゲーリーの年齢は、21歳。ウィルより6歳年上なのだが、考え方と情けない一面を見ていると、同年代や年下に思えてしまう。だが、これがゲーリーの特徴。深く考えない方が良かった。

 ウィルはユフィールが注いだ紅茶を半分飲むと、止まってしまった計画を練っていくことにした。

 その頃、ユフィールはアルンに引き止められていた。「いつ・何処に・誰と行く」と、早口で聞かれていた。ゲーリーと会話をしているので、ゲーリーと何処かへ行くというのは明白であったが、行く日にちと場所はまだ決まっていなかったので、聞きだすことはできないでいた。

 それに決まったら、ウィルから報告がいくと伝えると、アルンは渋々受け入れる。今、ユフィール相手に愚痴っても何もならないということを、今までの学習によって学んでいたからだ。