食は、命に通じる。

 身体が資本の職業に就いているので、毎日のように痛感している。それに途中で腹が減ったら、決闘にならない。

 ウィルは、美味しい手作り料理を胃袋に納めていく。スープは一気に飲み干し、パンは大口で頬張る。

 瞬く間のうちに、全ての料理が消えた。

「出発」

 食事の終了と同時に、椅子から腰を上げる。そして、自分自身に気合を入れるように、拳を突き上げた。

「では、私は遅れて行きます。後片付けと、お弁当の用意もいたしますので。ウィル様、頑張って下さい」

「徹底的に、叩き潰してくるよ」

 流石に、これに対しての返事はない。ユフィールにしてみれば、穏便に物事が進んでほしいと思っていたからだ。

 しかしウィルの性格を考えると、指摘は無理。また、完全に楽しんでいる。こうなると、何を言っても無駄。長い付き合いと経験で、瞬時に判断を下す。その為、利き手を振るだけだった。


◇◆◇◆◇◆


 ウィルが向かった場所――

 トレジャーハンターのギルドだった。

 今回の決闘は、ゲーリーが一方的に申し込んだもの。

 正式な手続きの下で行われる決闘ではないので、ギルドが真ん中に入り仲介役として動くことになった。

 お陰で、ギルドマスターエリアの機嫌が悪い。

「次は、事前に言うように」

「……はい」

 ゲーリーもエリアを苦手としているのだろう、額に大量の汗を滲ませている。しかしウィルの顔を見た瞬間、それは一変する。人差し指を向けると、今日の決闘は絶対に勝つと宣言した。だが、エリアの前での愚痴は死を招く。冷ややかな視線と言葉をぶつけられ、強制的に言葉を封じられる。

 彼女にしてみれば、早く決闘を終わらせてほしかった。今回ギルドが仲介役を行うと名乗り出たが、内心では「面倒」という気持ちが強かったのだ。それに、決闘が行われる場所も問題。ゲーリーが指定した場所は、凶暴な生き物が生息することで有名な危険地帯だった。