ユーダリル


 先程から鋭い視線を向けているということは、機嫌が悪いようだ。観音開きの窓を開けると、ウィルはディオンに不機嫌な理由を尋ねる。

 しかし、ディオンからの返事はない。それどころかますます機嫌を悪くし、横を向いてしまう。今度は、拗ねてしまった。

「こら、ディオン」

 すると横を向いたまま、悲しい声で鳴きはじめた。どうやらユフィールと仲良くやっていることが気に入らないらしく、これはディオンなりの抵抗なのだろうが、ウィルには伝わらない。

「そういえば、飯は食べたか?」

 その言葉にディオンは、ピクっと身体を震わせ反応を見せた。どうやら二人を監視していたことにより、食事を取るのを忘れていたようだ。そのことにウィルは「ユフィールに頼もう」ということを伝えると、珍しいことに素直に従った。どうやら、食欲には勝てないらしい。

「お待たせしました」

 熱々のスープを皿いっぱいに満たし、ユフィールがやってくる。その姿にウィルは、ディオンの食事はどうなっているか尋ねるあと、ユフィール曰く「朝食は用意した」らしい。そうなると、ディオンは我慢している。そのことを知ったウィルは、きちんと食べるように言うことにした。

 目の前で、黙々と食事を続ける好きな人。いつまでもこれが続けばいいと思ってしまうが、実の姉であるセシリアが結婚するかもしれない。それを考える度に心が痛み、深く考えてしまう。

「ウィル様は、アルン様が結婚すると思いますか?」

「……するね」

「そう……ですか」

「まあ、兄貴はセシリアさんのことが好きだからね。逆に結婚をしない方が、おかしいと思う」

 表だって好き嫌いを表さない二人であるが、見る人が見れば愛し合っていることはわかる。しかし、それを出す素振りは無い。何よりアルンは、セシリアよりウィルの方が大事だからだ。

 要は、時間の問題。今回ウィルとアルンの両親が訪れたことにより、それが早まる可能性が高いことに期待できる。後は、あの極度のブラコンを矯正すれば問題ないのだが、難しい。

 アルンが結婚すれば、大勢が喜ぶ。特にウィルが両手を上げ喜び、実家に帰ってくる回数が増える。

 今はアルンの小言を聞きたくないので帰ってこないのだが、セシリアと結婚をすれば彼女が防波堤となり、ウィルを護ってくれるだろう。