ユーダリル


 そしてこの喧嘩は、一時間近く続いた。

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 実家でそのような喧嘩が行われているとは知らないウィルは、ユフィールお手製の料理を食していた。

 薄い味付けの食事は飽きてしまったので、無理を言って通常の味付けの野菜スープを作ってもらい、ウィルは無言でそれを啜っていた。何より塩味が効いていて、とても美味しい味付けである。

「どうでしょうか?」

「美味い」

「野菜の硬さは、これでいいですか?」

「中まで、火が通っているよ」

「お好きな野菜は、ありますか?」

 いつになく説教的なユフィールに、ウィルは首を傾げていた。いつもなら物静かな態度を見せているが、今日は様々な質問をしてくる。ウィルの好き嫌いにはじまり、趣味に至る。

 何をそれほど知りたいのかわからないウィルであったが、ユフィールにしてみたら真剣だった。好きな人物の好みや趣向を知りたいと思うのは、女心だろう。何より、料理でウィルを満足させたかった。

 夢が現実となった場合、ウィルの世話をするのはユフィールしかいなくなってしまう。今現在、周囲の計らいによりそのような立場に置かれているが、あくまでも周囲の助けがあってのこと。

 もし周囲の助けがなくなってしまったら、このように世話をすることができなくなってしまう。だからこそ少しでも趣味趣向を学び、ウィルに気に入ってもらえる女性へと成長したかった。

「おかわり」

 野菜から美味しい出汁が出たスープを飲み干すと、皿をユフィールの前に突き出す。たとえ熱が高かろうが、ウィルは食欲旺盛である。やはり濃い味付けがいいのだろう、これで三杯目だ。

「料理、上手くなった?」

「練習をしましたので」

「以前のオムレツは、凄かったね」

「今度は、美味しく作ります」

 ウィルから皿を受け取ったユフィールは、そのように言葉を残すと、台所がある奥へと行ってしまう。ウィルは、大きな溜息をつく。それはユフィールに向けられたものではなく、窓の外にいるディオンに向けられたものであった。