不意にそう思っていると、前を向いていた彼が、突然こっちにクルリと振り向いてきた。 「……………」 「あ、あのー…、えっと。あたし、あなたに何かしましたでしょうか…」 情けない程に震える声と、嫌でも流れて来ようとする冷や汗をグッと抑え込んで、あたしが首をかしげると――、 「お前。俺と付き合え」 「は……?」 ――――予想外且つ、信じられない言葉が、目の前の彼の口からスラリと零れたのだった。