「そう言う事は、もっと早くに言え」
「ご、ごめんなさい。ついさっき、気分が悪くなって…」
「ああ、そうか。大丈夫か」
「え?…いや、全然…」
「だろうな」
「……ごめんなさい」
「…謝れなんて誰も言ってねぇ」
「…え。だって」
「お前は黙ってそこで休んでろ。何か飲みもん買って来る」
「え。いや、私なら大丈夫…」
「顔死んでる奴が威張んな」
矢沢君はその後「……ジュース買って来るから絶対そこから動くんじゃねぇぞ。分かったな」とだけあたしに言い残して、さっき来た道を足早に戻っていってしまった。
「………はあ」
あたしはそんな矢沢君を見えなくなるまで目で追って、完全に見えなくなるのを確認するとゆっくりと下を向いて目を閉じた。
気分が悪い所為だろう、頭がボーっとする。人混みの中に居る時よりかは幾分マシになったけれど、それでも頭は痛いしお腹は気持ちが悪いし、モヤモヤするし。仕舞いには目まいまでして、このまま倒れたらどうしようかと思った。

