あたしはトボトボとした歩調で校門前へ向かって、矢沢君がいるかどうかをキョロキョロとしながら辺りを見渡す。
「……あ、」
すると、校門前で携帯を弄っている矢沢君を見つけてあたしは小走りで矢沢君のところまで駆け付けた。
「や、矢沢君…」
「ああ、終礼終わったか」
「……うん」
その後、あたしは当然のように矢沢君の隣を歩くけれど、それでも少し矢沢君から距離を置いてしまった。
馬鹿だあたし、なんて思いながら横に居る矢沢君にチラリと視線を向ける。
「………」
そう言えば、この矢沢君とはあたしが絢さんの事を聞いてから、一つも口を聞いていないんだった。
………矢沢君、やっぱりまだ怒っているのかな。
「………」
そもそも、どうして矢沢君はあそこまで絢さんの事を拒絶したんだろうか。
やっぱり、絢さんがいきなり自分から姿を消した事に対して未だに未練を抱いているからだろうか。
――――それとも、あたしが絢さんに似ているからだろうか。
「……っ」
………全然、何も分からない。

