「………うっ」
分からない。何もかも分からないよ。
「………ふっぅ、」
矢沢君は、あたしを絢さんと重ねていたのかもしれない。
あたし越しに、絢さんを見ていたのかもしれない。
………だから、あたしに優しく接してくれたのかもしれない。
「…………っ」
解決出来ると思ったていたのにまた更なる難題があたしに降り掛かって来て、あたしはまた振り出しに戻る羽目となった。
ズキズキと痛み続けていた心臓が、今までの比ではないくらいに押し潰される。
「………っ」
あの写真を見た瞬間何だか矢沢君に裏切られた気がして、あたしは絢さんと似てるってだけで、色々な事を考えてしまう。
そんな自分が凄く嫌だ。そういう風にしか物事を捉えられない自分が、物凄く嫌だ。
でも、どうしたってあたしと絢さんが似ているのは事実で、その事実に物凄く胸がモヤモヤする。考えたくなくても、つい嫌な事ばかりを考えてしまう。
「……や、ざわ、くん…っ」
あたし、矢沢君の事、ちゃんと見ていたんだよ。
悪いところも、良いところも、全部。――――ちゃんと、見ていたのに。

