これが、あたしの彼氏です。【完】



『今日は用事があるので先に帰ります。ごめんね。』

その日の放課後、あたしは矢沢君へのメールにそれだけを打って送信ボタンをピっと押した。

それから数分も経たないうちにあたしの携帯が震える。
あたしはそれにドキリとしながらも携帯画面に目を通すと、受信先にはあの矢沢君の名前が表示されていて、メールの本文には「分かった。」とそれだけ簡素に書かれてあった。

「………」

あたしはいつも通りな矢沢君のメールにほんの少しだけ胸を撫で下ろした。


それからの数十分後、

「心ちゃーん、帰ろー」

不意にガラッと開いた扉から満面スマイルを浮かべる蒼稀君がひょこっと顔を覗かせた。


「あ、蒼稀君。今日はごめんね」

「良いって。じゃあシンに見つからない内にさっさと帰ろ。見つかると厄介だし」

「……あ、うん。そうだね」

その後、怪しいぐらいに辺りをキョロキョロと見渡しながらも学校を出て、あたしは蒼稀君の隣にそっと肩を並べた。