「……何で、お前が知ってる」
不意に、矢沢君の低い声が耳に響く。
「あ、あの。えっと、矢沢君があたしの事看病しに来てくれた時に、寝言で言ってて……」
「………」
あたしが小さな声でそれだけ言い返すと、矢沢君は不意に顔色を物凄く悪くした。
あたしはそんな矢沢君の表情に、もっと心臓が強く締め付けられてしまう。
「あの、矢沢君…」
「……あ?」
「……そ、その人のことについて、教えて欲しいんだけど…」
「………」
あたしがもう一回尋ねると矢沢君はまた体をピクリと動かして、ギュッと眉間に皺を寄せた。
「……お前には関係ない」
「え。……でも」
「俺が言った寝言とか言うのは忘れろ。二度と口に出すな」
「……え。どうして?だってあたし…、」
「うるせぇな。忘れろって言ってんだろっ!……悪ぃけど、俺もう帰るわ」
「あ、ちょっ、矢沢君……っ」
矢沢君はそれだけを吐き捨てると、物凄い不機嫌なオーラを放出させながらさっさとこの場を去って行ってしまった。

