それから二週間が経った頃。
相変わらずあたしは、あの矢沢君に振り回されっぱなしの日々を送っている。矢沢君の自己中心的且つ、ちょっと馬鹿なところは常に毎日健在で、その度にあたしは眉間に皺を寄せる始末。
あの日矢沢君とメアドを交換してからも、矢沢君からのメールがたまに届く事くらいで、あたしから送った事はもちろん今までに一度もない。
そのメールの内容も「遅い。」とか「今からこっち来い。」だとか、短文なくせに上から目線な内容がほとんどで、携帯が鳴り響く度自分の頬が引きつるのも、既に言うまでもない。
――――――ブブブ、
今日も、ポケットに入れていた携帯のバイブ音が静かに鳴り響いた。
「……。えぇ」
携帯をゆっくり開けて受信ボックスを確認してすぐ、あたしはギュッと眉間に皺を寄せた。
もちろん名前の欄にはあの矢沢君の名前がフルネームで表示されてある。
『俺の昼飯買って来い。』
簡素でたったそれだけの文章。さすがのあたしでも少しカチンときた。とうとうあたしはパシリと呼ばれる身になってしまったのだろうか。
「………はあ、」
今日の昼休みこそ由希と食べようと思っていた昼食を泣く泣く断って、あたしは自分の弁当を持って渋々一階にある購買へと向かった。
何が良いのかサッパリ分からなかったから、もうこの際適当に買って行ってやろうと思い、自分の目に止まったメロンパンと、コーヒーと、サンドウィッチを手に取り、あと自分が飲むミルクティーを一本持ってレジへと向かった。
「全部で510円になります」
「……はい」
後で絶対矢沢君にお金請求してやる。

