「ねえ矢沢君……もう、大丈夫かな…」

「あ?」

「嫌がらせとか、あのギャル女とか…」

「ああ。大丈夫に決まってんだろ。俺があそこまで言っといてまだ何かしてくんなら俺が絞めてやる」

「ふはは。それはやり過ぎだよ」

「どうだかな」

低い声でそう言う矢沢君の顔を、横からチラリと伺う。


「………ねぇ、矢沢君」

「あ?」

「あ、あの、ありがとう」

「…あ?別に。礼言われる程の事してねぇよ」

「うん、ありがとう」

「……黙れ、お前」


そう言う矢沢君の顔は、少しだけ真っ赤に染まっていた。ついさっきまであんな事を仕掛けて来たというのに矢沢君は照れたようにそっぽを向いて、そんな矢沢君の態度にあたしは変なの、なんて思いながら「ふっ」と小さな笑みを一つ零した。