『ごめん。気分悪くなったから、先帰るね』

由希宛てのメールにそれだけを書いて、あたしはトボトボとした歩調のまま学校を後にした。

「………」

矢沢君に対して思ってもいない事を口に出してしまって、あたしは胸いっぱいの後悔に駆られていた。

矢沢君は、こんなあたしをどう思っただろうか。怒っただろうか、呆れられただろうか――――

「………っ」

ついさっきの事を思い出すと涙が溢れて、その涙を何度も左手でゴシゴシと拭った。



その次の日。
あたしは今日もちゃっかりと学校へと向かった。

「心ー」

「あ、由希」

その後、外靴から上履きへ履き替えていると不意に朝練の手伝いを終えたらしい由希が、こっちに手を振って駆けて来た。

「心、昨日気分悪くなったとか言ってたけど、大丈夫なの?」

「あ、うん。……昨日は、先に帰っちゃってごめんね」

「良いのよ。仕方ないじゃない」

「…ありがとう」