あたしはその後、久瀬先輩に「大丈夫?歩ける?」と心配されながら近くにあると言う病院に向かった。

「ほら、ここだよ。付いて来て」

「……はい」

病院に入ると、申し訳ない事に久瀬先輩が全て手続きをしてくれて、あたしはすぐ診察室へと入る事になった。

「こりゃまた、酷い傷だね」

「す、すみません」

「いやいや、良いんだよ。痛かったら言っておくれ」

「……はい」

目の前の院長さんらしき男の人がふわりと優しい笑みを零しながら一つ一つ丁寧に手当てをしてくれた。

「手首は相当痛めてるみたいだから、一週間経っても痛みが引かない場合はまたここへ来なさい」

「……はい」

「うん。じゃあ戻って良いよ」

「ありがとうございました」

あたしは深々とお辞儀をして診察室を後にし、外で待っていてくれていた久瀬先輩に声を掛けた。

「久瀬先輩、お待たせしてすみません」

「あ、いいよいいよ。傷大丈夫だった?」

「あ、はい。手首が一番酷いらしいんですけど、それ以外は特に問題はないようなので…」

「そっか、良かった」

安心したように小さく笑った久瀬先輩を横目にあたしはふと自分の姿に目を向けた。