これが、あたしの彼氏です。【完】



「――――っ!!」

するといきなり体をドンっと押され、あたしは後ろの壁に勢い良く背中をぶつけてしまった。

「……痛っ」

「ははは、何か良い気味」

「ねぇ、マジですんの?」

「えー、やんないの?」

「だってさー、これ集団リンチっぽくね?」

「まあそうだねー」

あたしはそんな言葉をギャル達の口から聞いた瞬間、一瞬ヒュっと息が止まるような感覚に陥った。

「……っ」

直感で分かった――――今ここに居ちゃ駄目だ、この場から逃げなきゃ、と。

あたしはグッと唇を噛み締め、何も言わずにこの場をダッシュで駆けだした。けれど瞬時に「逃げんじゃねぇよ」と腕を力強く掴まれて、逃げるタイミングを完全に見失ってしまった。


「や、やだ。離してっ」

「……何逃げようとしてんの?逃げたって何も変わらないよ。ねぇ、もうちょっとあたし達と遊ぼうよ」

「………い、いやっ」


――――――その後の記憶は、あたし自身、あまり覚えていない。