「や、矢沢君に聞いてみないと…」
「うん、だから別れようって今から言いなよ」
「……でも、矢沢君は……」
「何?うざいなあ」
「………でも、」
「ああ、もうホントウザい。別れろって言ってんの!分かんないの!?あんただけが独占して良い相手じゃねぇんだよ!」
「………っ」
一瞬、その言葉の裏にあたし達だって矢沢君が好きなんだから、というそんな叫び声が聞こえたような気がした。
「ご、ごめんなさい…」
「はあっ!?謝れなんて言ってねえんだよ!こっちは別れろって言ってんの!ああもうほんとムカつくなぁ。さっさと電話してシンに言いなよ!別れて下さいってさあ!」
「……っ」
「ようするに東雲さんさー、謝るってことはシンと別れたくないって事?」
「え、」
「意外と図太い神経してんだね。こんなに追い込まれても分からないなんて。もうそうなったら、体に教えるしかないよね?仕方ないから」
(…どういう、こと?)
ニヤリと笑った表情でそう零したギャル女の言葉に、あたしは血の気が引いていくのと同時に背筋に嫌なものが走る感覚を覚えた。

