これが、あたしの彼氏です。【完】




「あ、そうだ。蒼稀君に呼ばれてたんだ」

あたしはそんな思考を瞬時に入れ替え、紙に書いてあった裏庭へと足を向けた。
その後、ダッシュで裏庭へ到着すると蒼稀君はまだ来ていないようだった。

「あれ、まだ来てないや…」

あたしは蒼稀君のクラスも終礼が長引いているのかな?なんて思いつつ、丁度体育館裏の入り口に繋がる階段を見つけたのでそこにストンと腰をおろして蒼稀君を待つ事にした。


「…はあ」

矢沢君は今頃何をしているんだろう。学校には来ているはずだけど、もう帰ったのだろうか。あたしが最近一緒に帰らないこと、気にしていたりするんだろか。

「…………」

そんな事を無意識に考えて一瞬ハッとした。あたしは何故矢沢君の事をこんなにもしんみりと考え込んでしまっているんだろう…。
そりゃ矢沢君の事については色々不安な事はあるけれど、今何してるんだろうなんてそんなのあたしには関係のない事だ。

「………、はあー」

あたしはさっきよりも大きな溜め息を一つ吐き捨てて、何気なく真っ青な空を見上げた。

すると不意に、奥の方でガサリと何かが動いたような音がした気がした。