「じゃあ、今日はここまで。ちゃんと予習してくるように」
――――それから、一週間が過ぎた。
正直、この一週間は本当に散々だった。物を隠されたり、靴箱に悪口が書かれた紙が入ってあったり、教科書が破られて落書きされてあったり。どれもありきたりな嫌がらせばっかりだったけれど、あたしにしては凄く凄く辛かった。不意に涙腺が緩んで、トイレで泣いた時もあった。
体育の時なんて当然のように体操服が隠されて、体育に出席すればバレーボールの時間にさり気無く集中攻撃をされたりだってした。
「………」
少しずつ少しずつ、あたしの中での限界が近付いて来ているのかもしれない。
そんな事をうんぬんと考え込んでいるといきなり、「心ちゃーん」とあまり聞き覚えがない声で名前を呼ばれた。
「………え?」
そんな声が聞こえた方へそっと顔を向けると、
「あ、」
「心ちゃん、ちょっと良いー?」
半年くらい前にゲームセンターで矢沢君に紹介された、無駄に可愛い印象が際立つ蒼稀君が、こっちに手を振って立っていた。
「えっと、蒼稀君…だよね」
「うん。覚えてたんだ。忘れられたかと思ってたよー」

