「……ひどい」
あたしのお母さんが、毎朝早起きしてあたしの為に作ってくれたお弁当なのに。不意にお母さんの事を考えると涙が零れそうになった。
「心、あれ取りに行こう。仕方がないけどお昼ご飯代ならあたし出すし、食堂で何か買って食べようよ」
「……うん。ごめんね、ありがとう」
「良いって。ほら早く行くよ」
「うん」
心強い由希のおかげで、出て来そうになっていた涙も何とか引いていき、あたし達は急ぎながらも弁当箱が捨てられている場所へと向かった。
「ホント、酷い事するよね」
「……うん」
「早く片付けちゃおう」
「うん、そうだね」
怒ったような表情でそう言った由希にあたしも小さくそれだけ返して、あたし達はてきぱきと散らかったお弁当を奇麗に片付けた。
その日は、それ以外何も起こる事はなく、あたしはホッと胸を撫で下ろしながら颯爽と家へと帰った。

